アンディ・ウォーホルについてネット上などで調べた事がある人ならば間違いなく一度は目にしている、サンデー・モーニング。
正確には「サンデー・B・モーニング版」といいましょうか。
ご承知の通りウォーホルは誰にでも知られるような画家です。彼のオリジナルの作品が稼ぐ著作権料はもとより、戒律の厳しさを裏付けるウォーホル・ファンデーションが許可するポスターなど関連商品の複製品がごまんとあります。
さらには贋物というか、グッチやシャネル、エルメスと同じようにコピー品が世界中に氾濫しています。当然許可を得ずに作った作品はもちろん違法であり、ウォーホル・ファンデーションによる厳しい法の行使がまっています。
しかしファンデーションが唯一、口出しする事のできないシルクスクリーンによるウォーホル自身が関わった海賊版とでも言うべき作品。それが「サンデーモーニング版」といわれています。
1970年、アメリカ本国での成功を収めヨーロッパへの進出を狙ったウォーホルにマリリン・モンローのヨーロッパエディションの企画が持ちかけられます。ウォーホルはオリジナルのスクリーン版型を貸し出しますが、途中でこの企画から降りてしまいます。
しかしその後もプリントは続けられ、完成した作品にはウォーホルのサインの代わりに「fill in your own signature. sunday.B.morning(自分でサインしろ!)」のスタンプが押されました。
sunday.B.morningのパブリッシャーはその後もウォーホル作品のリプリントを作り続けましたが、企画を降りたにも関わらずウォーホルは晩年まで彼らと交友を続けていて、その様な不思議な関係と残された謎、その鮮やかな発色と繊細な作りは単なるコピーではない奥行きと魅力を与えています。