華やかなファッション界の担い手としてグリュオは1940、50年代パリのハイファッションマガジンで活躍したイラストレーターだったそうです。グリュオは雑誌のモデル画から広告まで幅広くこなし、彼の描いた作品はどれもが新鮮で人気を博しました。当時のパリモード界をGruauはこう振り返っている。「あのころのパリで行われたショーはどれもショーの域を超えたスペクタルだった」と。そんな華やかなファッションが日常だった50年代、彼の仕事の多くもディオールやヴァレンシアガの美しいドレスを身にまとったモデル画だった。『Femme a L'oeillet』は『Cigarette』と同様にグリュオの晩期の作品に当たりますが、当時最も先進的で輝いていた彼の作風はまったく損なわれていない様にに見受けられます。